着物の柄には、染めや刺繍などさまざまな技法が使用されています。一見絵画のように見えるものも、近づいて見てみると全て刺繍でびっくりしたという経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、相良刺繍をはじめとするさまざまな着物の刺繍方法について、刺繍方法や魅力をお伝えします。
豪華絢爛な相良刺繍の着物が人気！
ここでは、着物における相良刺繍の魅力について見ていきましょう。
相良刺繍（玉縫い）について
相良刺繍とは、古くから着物の装飾に使われてきた刺繍の方法で、玉縫いとも呼ばれています。中国三大刺繍の一つでもあり、奈良時代に日本に伝わってきました。相良刺繍では、着物の裏側から糸をひき、結の玉をつくるという方法で行われます。
仕上がりとしては、同じ糸を使用している蘇州刺繍に比べると光沢がないのが特徴です。より落ち着いた上品な仕上がりになるため、着物との相性がよいと言われています。このように、時間も手間もかかる工法ですが、高級感のある仕上がりから多くの女性たちに人気を集めてきました。
相良刺繍の入った着物の魅力とは？
相良刺繍は、刺繍によってできる立体感が一番の魅力です。遠くから見ると、刺繍とはわからないような、細かい表現が可能となります。また、立体感があることで、着物に陰影がつき、独特の風合いを醸し出します。
さらに、その他の刺繍方法とは違ってとじ糸がないため、糸が引っかかって切れたりすることもありません。このようにとても丈夫であることから、着物にもっとも相応しい刺繍方法とも呼ばれています。
相良刺繍の着物に価値がある理由とは？
色留袖や訪問着、さらには色打掛などに多用されている相良刺繍ですが、相良刺繍の入った着物には高い価値があるといわれています。なぜなら、相良刺繍は非常に手のかかる技法であり、さまざまな着物の中でもとくに値打ちがあると評価されているからです。日本製の相良刺繍が入った着物に価値があるのはもちろんですが、海外製のものであっても、高い価値がつけられる傾向にあります。
また、相良刺繍がほどこされた着物の中でもとくに価値があるものとして、手縫いの着物と有名作家の着物があげられます。最近では、IT技術の発達とともに、コンピューターを使った機械縫いが主流となってきました。しかし、手縫いの着物は、手作業だからこそ出せる肌触りや質感から、今でも根強い人気を誇っています。また、有名作家が手がけた着物であれば、より希少価値が高まる傾向にあります。
たとえば、相良刺繍の第一人者でもある中国工藝美術大使「蒋雪英」の作品であれば、とくに価値が高まります。このように、着物の格をワンランク上げてくれるのが相良刺繍なのです。
相良刺繍だけじゃない！着物の刺繍方法について
美しい陰影をもたらす相良刺繍ですが、着物に用いられている刺繍方法はそのほかにもさまざまなものがあります。ここでは、代表的な刺繍方法をご紹介します。
日本刺繍
相良刺繍は中国から伝わってきた刺繍ですが、日本独自の刺繍方法も存在します。この日本刺繍は、釜糸と呼ばれる細い絹糸を束にしたものを使って行うのが特徴です。糸自身にはねじりがないのですが、職人の手によってねじりが加わることで、光沢感を出すことが可能です。基本的な縫い方は40種類以上もあり、それらを組み合わせることで日本らしい繊細な表現に仕上がります。
蘇州刺繍
蘇州刺繍は相良刺繍と同じく、中国三大刺繍のうちの1つです。髪の毛よりも細い極細の糸を使って縫い重ねていくため、より滑らかな雰囲気に仕上がるのが特徴です。また、両面刺繍であることから、表から見ても、裏から見ても、結び目のないきれいな状態になります。まるで絵画のような美しさと光沢感があり、「絹の絵画」と呼ばれるのも納得です。
スワトウ刺繍
スワトウ刺繍も、相良刺繍や蘇州刺繍と同じく、中国三大刺繍のうちの1つです。中国で生まれた刺繍技術に、西洋の刺繍技術が組み合わされて完成しました。そのため、西洋的なモチーフなどもよく取り扱われているのが特徴です。「絹の彫刻」と別名がつくほどの、豪華な仕上がりとなっています。
金駒刺繍
金駒刺繍は、針に通せないような太い糸を、綴じ糸を使って固定する方法です。とくに、金糸を使ったものなどは、留袖や振袖などでよく見られます。相良刺繍と同じく立体感が出るため、華やかさを演出できます。
まとめ
今回は、着物の刺繍によく使用されている相良刺繍の魅力についてご紹介しました。相良刺繍の入った着物は、その立体感のある仕上がりから、女性らしさを引き出せる着物として人気を集めています。ぜひこの機会に相良刺繍の魅力に目を向けてみてはいかがでしょうか。
「SAGARA（有限会社 福田商店）」では、職人が伝統的なミシンを使いながら、1枚1枚制作する手ハンドルで相良刺繍の伝統を継承しております。コンピューターとの組み合わせを行えば、さまざまなオーダーメイドの刺繍も可能です。まずは、お見積もりをさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。
