相良刺繡の帯は、眺めているだけでもうっとりとしてしまう美しい帯で、柔らかな着物に映えるアイテムとして欠かせないと言えるでしょう。最近は刺繍の着物や帯に人気があり、オーダーメイドで帯を作られている方もいるほどです。なかでも相良刺繍の帯は、デザイン性も高く、染めた帯とは違う華やかさがあります。
そんな素敵な帯でも、「格」に合わせて着物を選ばなければ、着こなしが変になってしまうのです。そこで今回は、帯の「格」についてと、相良刺繍の帯の選び方のコツを紹介します。
帯の格について
着物には格があり、それを上手に調整する役割を担っているのが帯になります。帯をどう合わせるかによって、「重い」「軽い」といった印象を左右させるのです。格を知ることで着物とのバランスがとれ、場違いな着こなしを防げるでしょう。
ここでは、帯の格について詳しくみていきましょう。着物の値段や質に合った帯を着けることで、上品な着物の着こなしを実現させることも可能です。
染めか織りか
帯には染めて仕上げられた物か、織り上げられた物かの2つの種類があり、染めよりも織の方が格上になります。どちらのタイプの帯にもそれぞれ、フォーマルとカジュアルがあり、シーンに合わせて適した帯を選ぶことが必要です。留袖や訪問着などの礼装に合わせるなら、金・銀といった多彩な色の意図を使った「錦織」や、刺繍のように立体的で色鮮やかな「唐織」といった織りの帯を選びます。
金糸や銀糸の量
礼装向けかどうかを判断するには、使用されている金糸や銀糸の量を見ることがポイントです。金銀が多く用いられている帯はフォーマルに適しているため格上になります。逆に、金銀の分量が少なければ、それだけフォーマル感が軽くなり、カジュアルやおしゃれ用になるのです。
もちろんカジュアルやおしゃれ用は礼服には合わないため、相性の良い色無地や小紋に合わせると良いでしょう。
刺繍の文様による意味
古くから日本に伝わる「吉祥文様」や「正倉院文様」などの古典文様が使われている帯は、文様に込められた意味があることから格上にあたります。そうではないデザイン性の高い幾何学模様や遊びを効かせたおしゃれ柄は、格上にはならず、カジュアルな装いに用いられるのです。
帯の形状
帯にはいくつかの形状があり、格上の順に「袋帯」「洒落袋帯」となり、「名古屋帯」「八寸帯」へと格が下がります。 浴衣に使われる帯の「半幅帯」は一番低い格です。金銀の分量や用いられている文様によっては、名古屋帯が洒落袋帯の上に格上げされることもあります。
相良刺繡の帯を選ぶコツ
無地の印象が強い着物にとって相良刺繍の帯は、程よいアクセントとして活躍できる帯と言えます。控えめながらも、鮮やかな色合いを放つ美しい図案は、相良刺繡ならではであり、ほれぼれとするでしょう。ここでは、そんな相良刺繍の帯を着物に合わせる時のコツを2つ紹介します。ぜひ着物をコーディネートする際に、参考にしてみてください。
配色に気をつける
刺繡の帯を選ぶ時のポイントは、「配色に気をつける」ことです。相良刺繡は多彩な色を用いて色鮮やかな帯が多いですが、着物に合わせるのが難しく、フォーマルな際に使うと場違いになってしまうからです。そうならないためにも、配色に気をつけることで、今風の落ち着いた印象で着こなせるでしょう。
白系やシルバー系の色合いがある帯ならスッキリとした印象に、シャンパンゴールドをあしらったベージュ系なら、落ち着いた柔らかい印象を与えます。
ドレス感覚で帯を取り入れる
着物に帯を合わせる時のポイントは、帯をドレス感覚で取り入れることで、素敵にコーディネートできるでしょう。洋服のドレスは上下に分かれてデザインされていますが、まとまりがあり、世界観を演出します。着物も同様に、帯が持つイメージと着物の世界観を合わせることで、全体の印象がまとまるのです。
帯選びは着物と一緒に作り上げる世界観を意識しながら、ドレス感覚で選ぶと良いでしょう。相良刺繡の帯は、色留袖をはじめとして小紋など、帯次第で幅広く活用できます。そのため、色合い、デザインなどが異なるタイプをいくつか持っているとよりコーディネートを楽しめるでしょう。
まとめ
日本の着物の中では相良刺繍は「最高峰の技術」とされており、上品かつ丈夫な刺繍として、和装文化を支えてくれています。相良刺繍の帯は色留袖や色打掛などに採用されており、言葉では言い表せない鮮やかさを演出してくれる逸品なのです。帯の格や選び方のコツを知ることで、着物に適した相良刺繡の帯を選ぶことができ、より美しく着こなせるでしょう。
着物を身近に着られている方、イベントに着られる方にとっても、相良刺繍の帯はマルチに使えるアイテムなのです。「SAGARA（有限会社 福田商店）」では、相良刺繡の専門店として、オーダーメイドで魅力溢れる相良刺繍を承っております。着物のシミ隠しや、オリジナルの帯を製作するなど、お客様のご希望にお応えいたします。ぜひ相良刺繍にご興味がありましたら、お気軽に当店へお声掛けください。
